(おのず)(から)(みち) 387 管長 (かんなぎ)()(さち)(ひこ)

必然の幸せな毎日へ

           (()(きょう)(かい)は、一連の題が終了後再開)

 (古神道・神理教を“(ほん)(きょう)”と記します)

WBCロス

 ワールド・ベース・クラシックは平成18(2006)年に始まり、第2回の平成21(2009)年以降は、4年毎となっています。

 日本は1回と2回に優勝し、令和3(2021)年は新型コロナの影響で延期となり、今年(2023)3月に開催されました。

 次第6回は、遅れを取り戻すべく3年後の令和6(2026)年に開催されるそうです。

 そして322日水曜午前に、日本はアメリカを下し、見事に3回目の優勝を決めました。

 今第5回は、日本でのリーグ戦からアメリカでのトーナメントまで、TVの視聴率も過去最高のようで、多くの日本人が熱狂しました。

 世界一となったのですから、他に比べるものがありません。

 そこで、話題になっているのがWBCロスだそうです。

 こんな楽しい刺激に変わるものが見つからない、ということです。

 これは、ギャンブルや飲酒でハイになった人と同じです。

 その刺激が無いと、目的を失い、迷ってしまうことがあるのです。

 迷いの本言(=その言葉の持つ本来の意味)

(まが)()びで、依存症のように刺激を追い求める余り、人生を見失う事もあります。

寅さんの名言

・偶然((てん)(ゆう))の幸せ1

 平成22(2010)2月号でシリーズ映画『男はつらいよ』での主人公の寅さんへの甥の(みつ)()の質問とその珍回答を紹介しました。

 その一つに、「人間は何の為に生きてんのかな」があります。それに対して寅さんは、

「難しいこと聞くなぁ、お前は。…何と言うかな、あ〜生まれてきてよかった。

 そう思うことが何べんかあるだろう。

 その為に生きてんじゃねえか。」

 何とまあユーモラス()つ分かりやすい言葉で、人が生きる意味”を解釈しているのでしょうか。『そうか生きることは有り難い・生きてるだけで(もう)けものなんだ』ということが、感覚で(つか)み取れます。

 こうしたいい加減のようで結構真面目に考えさせる言葉の使い方・考え方が、人生を楽しく生きるコツのように思えます。

 こうした有り難くも偶然のように神(=)から与えられた幸福感を、(てん)(ゆう)(天からの戴きもの)とも言います。

(てん)(ゆう)(偶然?)の幸せ2

 確かに、思い返せば、自他のスポーツや仕事の(はかど)りの良さ等に、充実や幸福を感じる時があります。

 又、年に何日か、日常でも素晴らしい朝日や夕日や季節の景色への(いと)おしさを覚え、生

きていて良かった!と感じる時があります。

 又、体調もそこそこで、なんとはなしに心地よさ・幸福を感じる時もあるものです。

 これらも、天からの生きる為の励まし・勇気づけのような、天祐と言えます。

 しかし、幸せはそんなに(はかな)(せつ)()(てき)なものなのでしょうか。

 折角の天祐をきっかけに、より前向きに考え、(みずか)らも働きかけて得る安心・幸せの日時を増やす工夫・知恵はないものでしょうか。

 勿論努力も大切でしょうが、その努力を楽しめる心の持ち方が、実は(こと)に日本には古来から伝わっているのです。

必然の幸せな毎日へ

 御教祖の御歌集、(こう)(どう)(ひゃく)(しゅ)に、

 (たか)()らす ()()()()の (つた)()

      (あらわに)(ごと)ぞ (かみ)の道なる があります。

 前述の喜びは、大元の親である神から祖先を通じて伝えられてきた、特別ではなく、普通に有るべき幸せである、との教えです。

 神道と他の宗教の違いは、生きている(げん)()(けん)()にこそ幸せを得るのが、祖先の安心・幸せでもある、という考え方です。

 自爆テロをして、来世で酒池肉林を味わう等は、恐るべき勘違いです。

 幸せは、家族や社会と共有することでより大きな幸せとなる事に気付けば、家族や社会にどんな貢献が出来るだろう、となります。

 接客業であれば何をしたらお客様に喜んで貰えるだろう、製造業ならば何を作れば便利に感じて貰えるだろうとなります。

 教師であればどう伝えれば楽しく学べるだろう、公務員ならば国や町の為に何をすれば、

皆が暮らし易くなるだろうとなります。

 宗教家ならどんな祭事をしたら参拝者に寄り添え安心して頂けるだろう、家族ではどうすれば安心の居場所となるだろうとなります。

 これらの工夫で、より高い次元での喜びの時間が増えて行くのです。

 これこそが、普通に神の道を歩むという、理想の一つと言えます。

幸福への道程

 その基本が、折りに付けて触れる、幸福への方程式・道筋ともいえる道程です。

 簡易に繰り返すと、

1.(つみ)((しち)(ざい)=()(たい)()(())(どん)(ぷん)(まん)(ゆう)(えん))()れないように気を付け

2.触れた罪を常に祓い

3.(にっ)()(神の気)を吸い、(たい)()(=)と波長を合わせ、

4((はっ)(とく)=(けん)(こう)(せい)(じつ)(いん)(とく)(し(せ))(しゃ)(ろう)(えき)(あい)()(こっ)()()(はく))を積む。を、毎日少しづつでも丁寧に繰り返すことで必ず運が開けてきます。

 御教祖の御歌集、桃の一枝に、

 ()めばのぼり (にご)ればしづむ (こと)(はり)

      (かみ)()も今も 変らざりけり があります。

 心が清く軽ければ、死(=()(ゆう))後、自然と()(わか)(みや)((あまつ)(みくに))に帰り昇り、心が(にご)り重ければ、自然と()()に沈むのは神・自然の(ことわり)です。

 それは、帰幽した後だけでなく、生きている今も同じです。

 帰幽後だけに片寄るのではなく、現世にも共通する(けん)(ゆう)(いっ)(かん)とは、こんなことなのです。

 こうして一年に二・三度の幸せが月に一・二度、週に二・三度と増える実感を味わえることとなるのです。

 

令和5年5月号 No.1311  2023-5

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