御教誡十箇条(略解の詳解)48
(古神道・神理教を“本教”と記します)
第五条世は大なる一家なることを
忘るることなかれ5
5)全世界の為の天皇陛下2
(筆者付記
自己喪失の歴史2(1と若干重複あり)
仏教と共に渡来した漢字や須恵器等の文明に驚愕した飛鳥時代の貴族は、未だその名も無かった自然信仰を放り出してしまいました。
仏教を信仰することが、特別な文化人という気風が醸成されたようです。
又、キリスト教と共に渡来した鉄砲や時計や地球儀等の文明に驚愕した戦国時代の武将は、交易の為もあり改宗する者まで出ました。
どちらも、高度な文明を持つ国は、高度な信仰を持っていると思い違えたのでしょう。
永い年月を掛けて培われた敬神尊祖への祈りや祭式こそ、道徳やその基となる最高度の精神文化であることを忘れたのです。
それは、現代のより高度な文明に浴している私達が、本能とも言える祈りや信仰の文化を忘れつつあるのと同じです。
便利さや煌びやかさの物質文明と、例えば茶道や華道等の精神文化とは違う事に気付きたいものです。
御教祖は、明治維新の日本人が、またもや外国文明に対して卑屈になるのを、残念に思われていました。
文明開化に取り組むのは良いものの、素晴らしい古神道の心を忘れるのを戒め、その誇りを鼓舞しようとされていたのです。
私達は、今もまた自信を持てず自分たちを卑下して、欧米の文明を羨み、他国に倣った生活用品を揃えようとしています。
そして欧米と同じ生活様式にして安易な安心を得ようという、心の貧しい生活に陥ってないでしょうか。
欧米文明を排除するのではなく、温故知新、良い物は取り入れながらも、素晴らしい日本の文化を併せて保持したいものです。)
6)世は大なる一家
社会は、大きな一つの家族と言えます。
天在諸神はその大御心(御意思)として、伊邪那岐・伊邪那美の二命を、高天原(日の若宮)から大地球に降ろされます。そして、
木火土金水の五大州(=大陸)と共にその先祖神(の五祖神)を産み為し、それぞれの大陸に五色の人種として産み継がれたのです。
互いに結びつくこうした流れを勘案すると、世界の人種の関係は、ちょうど網の目が繋がっているように、皆骨肉の間柄と言えます。
元である種(大元の神・自然・先祖)が一つで、腹(産まれる土壌)も一つなのです。
従って、私達は(人の本家である)皇室を中心にして、社会延いては世界は一家族のように親しむべきと言えます。
一般的に同胞と言えば、同じ国とか、その中でも特定の地域の人同士とか、民族や地縁や血縁等、より濃ゆい親しみを言います。
しかし、御教祖が『世は大なる一家』と言われたのは、もっと広い意味でのことです。
地球全体を指して『世は大なる一家』のように心得なさい、と教え諭しているのです。
7)五色の人種・世界平和への努力1
この第五条の中には、量りきれない程の意味が込められています。
(筆者付記 前項の五色の人種の祭神を、:注として以下に簡易ながら説明します。
:注五色の人種=木火土金水の五星の性を頂き、五大陸とその祖神が次のように説かれている。
木(青)の大陸はオーストラリアで、その祖神は角杙神・活杙神から使命を頂いた、久々奴知神。
火(赤)の大陸は南北アメリカで、その祖神は大戸之遅・大斗之辨神から使命を頂いた、火具土神。
土(黄)の大陸はアジアで、その祖神は宇比遅邇・須比遅邇神から使命を頂いた、埴安彦・埴安姫神。
金(白)の大陸はアフリカで、その祖神は面足・綾惶根神から使命を頂いた、金山彦・金山姫神。
水(黒)の大陸はヨーロッパで、その祖神は国之常立・豊雲野神から使命を頂いた、水波之女神。)
世界の神話にもある、伊邪那岐・伊邪那美に象徴される男女二神が人類の大元の祖であり、その子どもが五色の人種の祖神と言う事です。
これが、御教祖が解説された、物部・巫部家に伝えられた古神道の教えです。
御教祖は、一国だけの平和を言われたのではないのです。
この教えが正しいとするならば、同胞というのは我国(日本)の人だけでなく、世界中の民族は、皆血族の兄弟となります。
(筆者付記
筆者は、世界の神話の男神・女神を伊邪那岐・伊邪那美に決めつけようとは思いません。
しかし、この日本に伝わる神話の解釈法の考え方が共有出来れば、世界平和の大きな根拠となります。
国境や資源や宗教で、血で血を洗う争いなどは、雲散霧消へ向かう知恵が湧き出て来るのだと考えます。)
世界の物質文明が未だ開けず、互いの行き来の出来ない時代は、鎖国のように、それぞれの君主がいて、国や民族を統治しました。
しかし、そうした群雄割拠の中で、この世を神代にしようとされる天の神の意志を継ぐ天子と称え奉る大君は、現世に一人です。
それは我が聖上陛下(当時の明治天皇)より他にはありません。
段々に時が過ぎ世が進むと、御教祖の預言の如く、世界は天皇陛下を中心に纏まるに違いありません。
私達は朝夕祝詞(大元の神や配祀神の守護と祖先や家族や自分の四魂の安定を祈る日拝詞や祈念詞等)を奏上しています。
自然な人の道であり、本来の信仰である古神道の教えに則り、天皇陛下を中心に世界が平和に纏まることを願いましょう。
私達は、力の及ぶ限り海外までも渡り、この天地と公道を知らせるべきと言えます。
:注天地と公道=この世を皆の幸せという形有る神代とする方向性を持つ、世界の存在意義。
そして、世界をお互いが平等に過ごせ、思いやりを持った一つの家族とするべきです。
(筆者付記
天皇陛下を中心にしての世界統一という言い方は誤解を招きやすく、侵略戦争の裏付けになると心配する向きもあるでしょう。
アジア・太平洋(大東亜)戦争では、この論法が戦争に利用されたかも知れません。
しかし、世界の真の平和にとってどの形態が良いのかを考える時、必ず世界の統一という考え方が出てきます。 (つづく)