思い込み(認知バイアス)
(御教誡は、一連の題が終了後再開)
(古神道・神理教を“本教”と記します)
認知バイアスという言葉(以下、認知を省略)
最近インターネットでバイアスという聞き慣れない言葉が、心理学の用語と知りました。
私達は普段の生活の中で、様々なことを『自分の頭で判断している』と思いがちです。
しかし実は、多くの無意識の思い込みや偏った心に操られている、というのです。
こうした思い込みや先入観や偏見に落ち入り迷う事を、バイアスがかかると言うそうです。
成る程、振り返って見ると、自分ではまともと思っていても、意外にバイアスがかかって、まともでない精神状態にいることがあります。
心理学と共に本教の教えを、こうした偏りにどう対応出来るか、ご一緒に考えましょう。
バイアスの作用
元々バイアスは脳に負担を与えないように、経験を固定観念にすることで、思考の近道を作る作用を指すようです。しかし、その固定観念は、合理的でない場合も多いのです。
合理的でない思い込みや偏った思いに陥るバイアスは、実に170種類以上あるそうです。
・自信が持てないバイアスにかかると
例えば、自分に自信を持てず卑屈な考えに陥って、自分や自分の属する組織の存在価値(=バーパス)を見失うことがあります。
その結果、自分に自信が無いことの裏返しに、弱者に居丈高なって、上から目線で意地悪な振る舞いをする事があります。
又、自分がどうかということを棚に上げて、自分の国や組織や家族を誇り、他を軽蔑する事があります。
自分の組織に貢献し誇りを持つのは良いものの、軽蔑という情動は自分の貢献度への後ろめたさへの裏返しである事が多いものです。
是等は、本当は自信が無いのに、自信があるから弱者を見下げる、と思い違えているのですから、救い難いものがあります。
・自分の属する組織へのバイアスにかかると
私達は、大きく保守と革新、資本主義と社会主義等の思想や国家、身近に会社や宗教や学校やクラブや趣味の組織に属しています。
例えば資本主義の国と社会主義の国に住む人の多くは、自分たちの制度の方が万全ではなくとも正しい、と感じていると思われます。
多分どちらも、多少以上のバイアスがかかっているのではないでしょうか。
バンドワゴン効果と言って、周囲の大勢の人が選択している判断は、個人の判断より正しいと思い込むバイアスだそうです。
例えば、周囲に予防接種を行う・行わない人が多ければ、それを正しく感じる等です。
又、ハロー(後光・光背)効果と言って、有名人を商品の広告に起用すればそれが良いと思い込ませるのもバイアスです。
・夢や希望に対してのバイアスにかかると
地位や名誉や財産を夢とするのは良いものの、折角得た夢の職業や地位や名誉を、どう活かすのかに意識が回らない事があります。
地位や名誉や財産を得ても、それらをどう活かすのかの目的を見失い、ただ贅沢に身を持ち崩して、心身の健康を失う事があります。
夢や希望を叶えることへのバイアスのかかり過ぎで、その活用への意義とのバランスを失っているのです。
・夫婦生活がマンネリのバイアスにかかると
夫婦生活は、永年過ごすと良い意味でも悪い意味でも、空気のような存在になると言います。それで幸せな人も居る訳でそれは良い意味ですが、マンネリで嫌悪感のバイアスがかかるという、悪い意味の場合もあります。
そこで、お互いにたいした瑕疵(=欠点)も落ち度も無いのに、ちょっとのことが元で、本当は嫌いでないのに離縁になる事もあります。
・失敗・成功例だけを見続けるバイアス
失敗しないようにと、失敗例ばかり研究すると、関連の無い別の判断の時にも、情報が少ないと失敗を前提に決めるというものです。
情報が少ないと、その隙間を身近な体験例で埋めようとする脳の働きだそうです。
失敗を前提にしてしまうと行動を恐れ過ぎ、反対に成功にバイアスがかかるとやり過ぎてしまう事になってしまいます。
・バイアスの悪用
以上だけでも、振り返れば私達は、こうした思い込みで、現実を正しく見てないかも知れないと、気を引き締めたいものです。
更に、是等のバイアス(私達の思い込み)作用を利用して、物品販売にも利用されていると聞くと薄気味悪く思います。
例えば、入会金を払って入れる大型マーケットは、それを取り戻したいと、つい不要な物も大量に買うバイアスにかかる事があります。
入会金を取るのが詐欺ではありませんが、そうした気持ちにならないよう、自分の心をコントロールするべきなのです。
このように自分でも気付かない内に、営利企業やいかがわしい宗教に、誘導されている可能性もあるのです。それだけではなく、善意で接していても、自分でも気付かぬ内に他人様をバイアスにかけている事さえあるのです。
そこでこうした認知バイアスの存在を理解することで、より正しい判断や人との誠実な接し方が出来るようになりたいものです。
バイアスを抑えるには
・心理学の手法
1.思い込み(バイアス)の存在を知る。前提を疑う。がありました。これは、今回ご一緒に考えた事を、忘れず活用する事です。
夫婦生活は、例えば夫婦で目新しい飲食店に行く等、非日常を加える事だそうです。
2.その場で判断しない。人の意見を聞く(複数の視点)。がありました。
これは、バイアスを抑える為というより、普段の心掛けとも言えるものです。
3.因果関係を分析する。効率や統計を重視し判断軸を決めておく。がありました。
これは、人によっては難しいけれど、出来る限り比較・計算して行きましょう。
・本教の手法
バイアスは、本教では七罪(怠・詐(嘘)・貪・憤・慢・憂・怨)に置き換えられると言えます。
ならば、答えは簡単で、170種類のバイアスと七罪を比較しながら祓うことで解決出来そうです。 (つづく)