御教誡十箇条(略解の詳解)26
(古神道・神理教を“本教”と記します)
第三条の政令にそむくことなかれ1
1)政令の役割
*政令とは
政令とは、法律にそって命令される、政府より発せられた規則です。
政令は、長い歴史の中で培われてきた、日本の国の良い形態を保つ為の、また、善良な国民を保護する為のものです。
本教では天皇家を人類、少なくとも日本人の本家として、神祖の心を受け継ぐ心の柱として尊崇します。その天皇陛下の大きく広く優しいお心の表れとして、公務員を通して、最終的に私達の為にあるのが政令の本質です。
ですから、その政令に背いてはいけません。
*政令の果実
法律を元に政令を出し、正しく政治が行われると、先祖伝来の財産を理不尽に奪われたりせず、安堵出来ます。
また、政令が守られる所であれば、どんな遠い所でも安全に往き来出来ます。
*政令がなければ
もし、皆に公平と安全を与える政令が無く、正しい政治が行われなかったら、世の中は弱肉強食となります。
弱い者は強い者に、財産や生命を奪い取られ、たちまち国家という団体は崩壊してしまいます。
そうなると、欲しい物は力で奪い取る獣の集まりのようになり、自分中心の欲ばかりが先走る、纏まりのつかない世界となります。
ですから、この公平に秩序を整える為の政令に背いてはならないのです。
注:ここでは、政令の正当化を主張し、現在の政府を助けようなどと意図するものではなく、政令の本質を説いている。
2)政令の起こり
*神の配慮
この政令というものは、そのまま大元の天津神のご配慮と受け止めましょう。
一見便利の良い文明の発達に伴い、生存競争が激しくなると、優れた者が勝ち、劣った者が負けてしまう世の中になります。
そこで、神が競争の原理だけに墜ち入らないように私達に注ぐ愛情の一つが政令です。
*邇々芸命と饒速日命
国の秩序を守る為に最初に政令を出されたのは、天照皇大神の皇孫である邇々芸命です。
その父は正勝吾勝々速日天忍穂耳命、その母が天照皇大神ですから、邇々芸命は天照皇大神の直系の孫となります。
正式には天饒石國饒石天津彦火邇々芸命で、この先も豊葦原中津国、即ち日本の君主として政治を司ります。言わば天から、君主という職業を授けられたのです。
邇々芸命は天皇家の高祖であり、高千穂峰に降りられて、国の秩序のために政令を出すようになった最初の方です。
その兄が物部・巫部家の高祖となる、饒速日命で、正式には天照國照彦天火明櫛玉饒速日命で、神事を司ります。言わば天から、神事という職業を授けられたのです。
私達の祖先は、こうした皇祖神の大恩頼を何十代にも渡って戴きながら、今の私達も今の天皇陛下の世に生まれ出たのです。
従って、私達はそうした歴史に添った真っ直ぐで正しい道、即ち皇道(=神の道)に添った政令に従うべきなのです。
日本の政令には、こうした歴史があり、信仰と政令を守る人とにその守りがあるのです。
3)信仰と政令の関わりの大切さ
*神社・教会が廃れ、刑務所が増える社会
信仰心が無い人は、得てして法律を守らず、政令に背きがちです。こうした人が増えてくるにつれ、神社や教会に草が茂り、荒れ果てるのを見るのは残念なことです。
それに比例して刑務所が立派になると、国運も傾くことになります。
法律を犯し、政令に違反する犯罪者が増えると、国民に経済的な負担となり、社会的損害が増えます。
人間違えがないように犯人を特定したり、人権を損なったりしないように配慮し、国家がお金を使います。
そして、隠密の内に犯罪の証拠を見付け整え、犯人が特定されて、ようやく令状が執行されて逮捕されます。
次に事情聴取をして検察庁に書類を送り、
予審をして公判に回し、長い年月と審議を経て、ようやく判決が言い渡されます。
そして、刑が確定すれば刑務所に収監され、その刑に服する間は、自身の苦しみは元より、妻子や親戚も世間に遠慮をします。
世間からは犯罪者の家族というレッテルを貼られ、好奇の目で見られるという、辛く惨めな生活を送ることになります。
収監中の経費は国の負担となり、そのまま国民の負担となります。
本人も家族親族も辛い思いをし、国にも負担を掛けます。
一人が犯した犯罪は、見た目には小さくとも、広い範囲に多大な損害と迷惑を掛けることになるのです。
*本教教師の役割
以上は、世の為人の為に役立つ喜び、という人間本来の生き方と真反対、となります。
そこで、本教の教師は、政令の擁護者となり、人が法律や政令を犯すことがないよう、導く事が大切です。
それは、同時に信仰の大切さを伝えることでもあるのです。
また、信徒としても、本教に加入した以上は、この教えに添って、常に正しいものは何かを考えるべきです。
日々、得てして曇りがちになる精神を、神前に膝を進め、常に磨くことを心掛けて、政令に背かないようにしましょう。
(つづく)