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2014−12
自然(おのずから)の道(みち) |
管長 巫部 祐彦 |
八徳の5労役 |
幸福への道程は、1.七罪を犯さない。2.自分や先祖の罪を祓う。3.神気を戴く(長呼吸法)。4.八徳を積む。心掛けです。 (古神道・神理教を“本教”と記します) 冒頭4.八徳Dの労役をお伝えします。 1.七罪2.祓の守りから、3.長呼吸法4.八徳と、段々攻め(積極策)に転じています。 労役 ・若さを保つ秘訣 『若さを保つ秘訣』として、85歳の総代さんに三つの心得を教えて頂いた話を、平成14年7月号で紹介したことがあります。 お元気に飾り注連縄を伝える等されながら、昨平成25年11月に96歳で帰幽(=逝去)された故和田時男氏です。 因みに奥様の帰幽は102歳で、こちらも最後までお元気でしたから、やはりこの心得は 信憑性があるようです。 『うちの爺ちゃん・婆ちゃんは、死ぬまで元気やった(=だった・小倉弁)。』は、教徒(宗旨が本教)の葬儀に伺った時、殊に90・100歳代で 時折聞く言葉です。 私達本教人が目指す一つの到達点であり、嬉しくも肖りたい、と願う気持ちは筆者だけではないでしょう。 約12年前の話ですが、故和田氏は『三つのかく』を言われていました。それは、1.汗を掻く、2.文字を書く、3.恥を掻く、でした。 内容は繰り返しませんが、1.は当然として、 2.・3.も今月の主題である労役にも関わる ように思い、紹介させて頂きます。 若さを保つのも労役の効用、徳の内です。 ・汗を掻く 1.の体を使い汗を流す事は、大切な事です。御教語の第三十三節に、 『人は食う為に働くに非ず。働く為に食う。故に働かざるものは食うべからず。 幼者は更に働くべく、老者は既に働きたればなり。』があります。(人は他の動物と同じく、食べる為に働いているようでありながら、実はそうではない事に気付くべきである。 それは、神の世を形に現し、全ての生き物が神の恩恵を楽しむ事にある。 殊に人は、食べる為に動き求め働いているのではない事を理解出来る知能を戴いている。 そこで、この知能を使ってどちらが元かを弁えるべきである。 働く為、即ち社会に役立つ喜びを得ようと、食べ生きているという事である。 働ける人は、社会に役立つという最高の 喜びが得られるのだから、感謝の気持ちを 持ち、勇んで自分の能力を発揮しなさい。)と教えています。又、反対に、 (折角神様に頂いた能力を使わずに平気でいる者{怠}は、人並みに食べる事は出来ないものだ。)と戒めています。怠(七罪の@)には、食べられないようなお知らせを受ける事も、暗示しているようです。 現代社会に大量の物質や情報が溢れる中で、私達は自分の考える範囲を、専門性等を理由に自ら狭めることがあります。自然や社会との平衡感覚を失い、自分の役目を忘れた人が増え、働く事の意義も見失われがちです。 働く事の本来の意義・原点を伝え、この道を歩く事が当たり前で自然の道であるから忘れてはならない、と教えているのです。 『働かざる者は食うべからず』というのは昔から伝わった言葉ですが、御教祖はこれを 解釈して何にでも当てはまる事ではないという優しさを示されています。即ち、 (幼者は充分に育ち将来社会に役立つ為に、老者は社会に役立ったが故に、共に今の人生を元気に楽しむ為に食べるべきである。)と教えています。老者は年を重ねる毎に自分に 合う仕事を行ないながら、次の世代から感謝と共に自分の貯めた徳の還元を受けるのです。 損得を忘れて体を使って無心に働き、汗を流すという姿と心が神に同化するのです。 同時にその行為が社会に徳を積むこととなり、罪を解くことにもなるのです。 ・文字を書く 2. も頭の汗を掻く労役の一つと言えます。 私達は得てして、自他の仕事を差別しがちです。例えば、建築関係であれば、事務系は労務系を理詰めで使おうと仕勝ちです。 又、労務系は体も動かず、現場を知らない事務系を嫌悪することがある等です。 双方がその利点を活かし合う事が大切です。 文字を書くことに象徴される事務も労役ながら、日記や自分の思いを形にする手紙・詩歌等の文を書くのも楽しみながらの労役です。 本誌に投稿下さる皆様も、この徳を積んでいると言えます。 ・恥を掻く 3.は一瞬何だろう?と思います。 筆者は、例えば勘違い等の恥を恐れず意見を述べる事もその一つだと考えます。 殊に私達日本人は、他人に恥を掻かせない等にも気を回し過ぎ、或は人に憎まれることを恐れ、意見を言えないように感じます。 考えを口に出す習慣から、一層よく物事を見極める力が育つのですから、自身の考えを纏める訓練と思い勇気を出しましょう。ただ、議論の経験が少ないと、自身の言葉に拘ることもあります。同時に他の意見を受け入れる許容する習慣・訓練も必要です。 この三つも参考に、労役という徳を不断の習慣として行い、共に自身を磨きましょう。 |