冒頭2.祓について、先月に続けます。
祓う方法(後半)
F祭事で必ず行う祓い行事は、幣(幣・祓串・大麻とも言う)の祓いです。
古くは、幣棒や榊に麻紐を付けたものに始まり、現代は半紙を切り込んだ紙垂と割いた麻紐を付けるようになりました。
大昔、幣(麻)は麻・木綿・絹布等、着物に使う高級品であり、魔を祓う力があるとされました。時代が下ってこれも大変貴重な紙を付けるようになったのです。
神道一般では祓詞、本教では清祓、又、大祓(共通)等の祝詞を奏上した後、その幣を左→右→左の順に振ります。こうして祭を受ける人の罪を吸い寄せて祓うのです。
G塩等の祓いは、麻や紙と同じ貴重品として、塩等も日本の信仰の文化として使われます。
例えば通夜・葬儀から帰った時、留守番の人から(又は自分で)家の玄関で左→右→左と塩を足下に撒いて貰い、その時四拍手をします。
通夜・葬儀等で塩を使うのは、生きる意欲を減じる迄の悲しみ苦しみ辛さを罪として祓うのです。悲しみ等自体は神に戴いた感情で罪ではなく、死自体が汚いのではありません。
又、家の中心から北東の表鬼(貴)門や南西の裏鬼(貴)門や北南東西の四角に撒きます。
塩に見立てた白の清め砂を使うこともありますし、大地の神へ捧げ物をする散供を兼ねて、酒・米等の祓いを使うこともあります。
死の本言(その言葉が持つ本来の意味)は“シ・ヒ・イヌル=風・火・去る”です。
“風・火(=添う・霊)”即ち神から賦与された霊魂が又神の元に帰る・去る、或いは黄泉や迷いの世界に往くという事象を指しています。
G言霊の祓いは、一つに祭の前半の祝詞がそうです。まず前ページFの『清祓』や『大祓』を奏上し、その霊力(言霊)で祓います。『遷却崇神』は祓い、『神言』は鎮めの祝詞です。
又、葬儀では『帰幽奏上詞』、普段の霊祭では『天神奏詞』も奏上して、四魂の祓いとし、その後祭の主旨が奏上されます。
二つに、最後の『記念詞』の後には“吾が心清々し”等の唱え言葉を繰り返すことで祓います。先ず祓ってから神徳を戴くという順序で、これは普段の生活にも活用出来ます。
即ち三つとして、汚い言葉を使わず人の悪い処を見つけて陰口を言わず、綺麗な言葉を使い人の善い処を見つけて褒めることです。
お目出度う・良いですね・お陰様で…等々、無数にある善い言葉を是非使いましょう。
本教では、祓い行事の時のみでなく、普段でも“トホカミエミタメ祓え給へ清め給へ”の唱え言葉も使います。その表層の意味は、《遥か神界の彼方から、私達に微笑み掛けるようにお守り下さい》という言霊の祓いです。
その深層の意味は、本教の主祭神である天在諸神の神徳や守りを含むものです。言霊学と共にこれを学ぶと、病気や災難の種類によって、どの神の力を願うか等、理解出来ます。
I色霊・十種の祓いは、天在諸神それぞれが守護される木火土金水の五行に関連します。
先ず、人それぞれの孕み年からその年を守護する天在諸神が分かります。次に、その神に当たる青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)がその人の祓い・開運の色となります。ご自分についての詳細は、本教の教会長・教師又は本院にお尋ね下さい。これは神宝による祓いに繋がります。
J笑いの祓いは、笑いが明るく弾けるような音霊と言霊の力によって、暗く濁ったものを吹き飛ばすという考え方によるものです。
祓いの本言(その言葉の持つ本来の意味)を“日・顕せ”との意味だけでなく、ワライの音霊にあるという説も頷けます。
Kその他の祓いも、例えば先月からは五行(木火土金水)の水と火しか述べてないことからも分かるように数限りがありません。
木は例えば榊や紹霊(小賀玉)や櫟を神離や祓串や玉串や剣板(笏板)に使うのは、その祓いの霊力を戴くのです。松や桜や楠や欅等を神木として崇めるのも同じ考え方です。
土も例えば泥だらけになる神事が地方によってあるのは、その祓う力を信じるからです。
金も銅・鉄と太古から銅鐸や神剣に使われるのは、その祓いの力を信じるからです。
身近な活用
私達は、何も考えずに使うのではなく、その神霊の力に感謝の念と、祓いへの意識を持つことにより、一層の力を戴けるのです。
今月の春の大祭は、土日(20・21日)となります。先月からの@〜Kを心掛けてのお参りをお待ちします。お越しになれない方も、教会や近くの神社にお参りの際は、こうした心掛けを持たれ、一層の御神徳をお受け下さい。