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                                                          2013−4

平成25年4月号  No.1190

        

                 自然(おのずから)の道(みち)

管長 巫部 祐彦

祓い3.(祓う方法・後半)

 幸福への道程は、1.七罪を犯さない。
2.自分や先祖の罪を祓う。3.神気を戴く (長呼吸法)。4.八徳を積む。心掛けです。
   (古神道・神理教を“本教”と記します)

 冒頭2.(はらい)について、先月に続けます。

(はら)方法(後半)

F祭事で必ず行う祓い行事は、(へい)((ぬさ)(はらえ)(ぐし)(おお)(ぬさ)とも言う)の祓いです。

 古くは、(へい)(ぼう)(さかき)(あさ)(ひも)を付けたものに始まり、現代は半紙を切り込んだ()()()いた麻紐を付けるようになりました。

 大昔、(ぬさ)((ぬさ))(あさ)()綿(めん)(けん)()等、着物に使う高級品であり、魔を祓う力があるとされました。時代が下ってこれも大変貴重な紙を付けるようになったのです。

 神道一般では(はらえ)()、本教では(きよ)(はらい)、又、(おお)(はらい)(共通)等の(のり)()(そう)(じょう)した後、その(へい・ぬさ)()()()の順に振ります。こうして祭を受ける人の罪を吸い寄せて祓うのです。

G塩等の祓いは、(ぬさ)や紙と同じ貴重品として、塩等も日本の信仰の文化として使われます。

 例えば通夜・葬儀から帰った時、留守番の人から(又は自分で)家の玄関で()()()と塩を(あし)(もと)()いて貰い、その時四拍手をします。

 通夜・葬儀等で塩を使うのは、生きる意欲を(げん)じる(まで)の悲しみ苦しみ(つら)さをとして祓うのです。悲しみ等自体は神に戴いた感情でではなく、死自体が(きたな)いのではありません。

 又、家の中心から北東の(おもて)()(())(もん)や南西の(うら)()(())(もん)や北南東西の()(すみ)()きます。

 塩に見立てた白の清め砂を使うこともありますし、大地の神へ捧げ物をする(さん)()を兼ねて、酒・米等の祓いを使うこともあります。

 ()(ほん)(げん)(その言葉が持つ本来の意味)は“シ・ヒ・イヌル=()()(イヌ)る”です。

()()(=()う・())”即ち神から()()された霊魂が又神の元に帰る・()る、或いは()()や迷いの世界に()くという事象を指しています。

G(こと)(だま)の祓いは、一つに祭の前半の祝詞がそうです。まず前ページFの『(きよ)(はらい)』や『(おお)(ばらい)』を奏上し、その霊力((こと)(だま))祓います。(せん)(きゃく)()(じん)』は祓い、『(かん)(ごと)』は(しず)めの祝詞です。

 又、葬儀では『()(ゆう)(そう)(じょう)()』、普段の霊祭では『(てん)(じん)(そう)()』も奏上して、()(こん)(はら)とし、その後祭の(しゅ)()が奏上されます。

 二つに、最後の『記念詞』の後には“吾が心清々し”等の(とな)(こと)()を繰り返すことで祓います。先ず祓ってから神徳を戴くという順序で、これは普段の生活にも活用出来ます。

 即ち三つとして、(きたな)い言葉を使わず人の悪い(ところ)を見つけて陰口を言わず、綺麗な言葉を使い人の善い処を見つけて()めることです。

 お目出度う・良いですね・お陰様で…等々、無数にある善い言葉を是非使いましょう。

 本教では、祓い行事の時のみでなく、普段でも“トホカミエミタメ祓え給へ清め給へ”の(とな)え言葉も使います。その表層の意味は、《(はる)(しん)(かい)(かな)()から、私達に(ほほ)()み掛けるようにお守り下さい》という(こと)(だま)の祓いです。

 その深層の意味は、本教の主祭神である(てん)(ざい)(しょ)(じん)の神徳や守りを含むものです。(こと)(だま)(がく)と共にこれを学ぶと、病気や災難の種類によって、どの神の力を願うか等、理解出来ます。

I(いろ)(だま)()(くさ)(はら)は、(てん)(ざい)(しょ)(じん)それぞれが守護される木火土金水の()(ぎょう)に関連します。

 ()、人それぞれの(はら)み年からその年を守護する天在諸神が分かります。次に、その神に当たる青()・赤・黄・白・黒()がその人の祓い・開運の色となります。ご自分についての詳細は、本教の教会長・教師又は本院にお尋ね下さい。これは(かん)(だから)による祓いに繋がります。

J笑いの(はら)は、笑いが明るく(はじ)けるような(おと)(だま)(こと)(だま)の力によって、(くら)(にご)ったものを吹き飛ばすという考え方によるものです。

 祓いの(ほん)(げん)(その言葉の持つ本来の意味)()(あら)せ”との意味だけでなく、ワライの(おと)(だま)にあるという説も(うなず)けます。

Kその他の(はら)も、例えば先月からは五行(木火土金水)の水と火しか述べてないことからも分かるように数限りがありません。

 木は例えば(さかき)(おが)(たま)(()()(たま))(いちい)(ひも)(ろぎ)(はらえ)(ぐし)(たま)(ぐし)(けん)(ばん)((しゃく)(いた))に使うのは、その祓いの霊力を戴くのです。(まつ)(さくら)(くすのき)(けやき)等を神木として(あが)めるのも同じ考え方です。

 土も例えば泥だらけになる神事が地方によってあるのは、その祓う力を信じるからです。

 金も銅・鉄と太古から(どう)(たく)(しん)(けん)に使われるのは、その祓いの力を信じるからです。

身近な活用

 私達は、何も考えずに使うのではなく、その神霊の力に感謝の念と、祓いへの意識を持つことにより、一層の力を戴けるのです。

 今月の春の大祭は、土日(2021)となります。先月からの@Kを心掛けてのお参りをお待ちします。お越しになれない方も、教会や近くの神社にお参りの際は、こうした心掛けを持たれ、一層の御神徳をお受け下さい。