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2013−3
自然(おのずから)の道(みち) |
管長 巫部 祐彦 |
祓い2.(祓う方法・前半) |
幸福への道程は、1.七罪を犯さない。2.自分や先祖の犯した罪を祓う。3.神気を戴く(長呼吸法)。4.八徳を積む。心掛けです。 (古神道・神理教を“本教”と記します) 冒頭2.祓について、先月に続けます。 祓いの図解 祓いは日本人の習慣として、実は皆様知らずに普段から行っているものも多いのです。 今月はその方法や意義を確認することによって、一層深い神道の神髄に進みましょう。 祓う対象や方法の前に、先月の“神徳の流れ”図に続き、祓いも図解してみます。
神道では魂(心)の色は丹色と言われます。 稲荷神社の鳥居や朝日や夕陽の色を連想下さい。朱〜黄金の神々しい色です。 右上の図は、内側の丹色が私達や御先祖の霊魂で、それを 神祖からの御徳は矢印のように反ね返されて、気が枯れて穢れた状態です。 右下の図は、罪を祓った後の霊魂で、罪が消え失せ自らも発光しています。 神祖からの御徳は受け入れられ、自らも世に役立つ喜びを得られます。 教書『神理入門』の第九に、 【善をなせば心自然清く、足軽くして天に昇るが如し… 悪をなせば心自然暗く、足重くして淵に陥るに似たり…】とあります。 教書『神理図』の七にも、 【善を作し自ら快き者は、其気天に上る 悪を作し自ら鬱する者は、其気泉に墜つ】 祓う対象(何を祓うか) 一つに、衣服を質素でも清潔に身体の物質 的な汚れや臭いを洗い清め、参拝路の心持ちで形と心を整え、自らの心掛けを祓うのです。 二つに、私達の心や神への道筋や捧げ物等を祓い清める、即ち人と物の霊魂を祓うのです。清めの作法や祝詞や修祓等多種多様です。 三つに(深くは)、本教では『天神奏詞』等の祝詞で、人に備わる幸魂・和魂・荒魂・奇魂を一つ一つ磨き祓い清める四魂を祓うのです。 祓う方法(前半) 日本には多種多様な方法が伝わっています。 @心掛けの祓い・行は、本院や教会や神社への参拝路から既に始まっています。 参拝路や参道を乗り物で或いは歩いて進むことが一つの行であり、それを意識して神前に向かうことが祓いなのです。 帰りはまだしも寄り道をしたり、上品でない無駄口を叩いたりせず、清めを意識して歩を進めることです。 門や鳥居を潜るのは頭を下げて礼を行う行で、丸橋(本院では神成橋)や石段の昇降は、山登りの行の縮小版と考えます。 A水の祓いは、手水舎で手を洗い口を漱ぐことで、水行として禊の縮小版です。 手と口だけでも、全身の禊をする心掛け (決意)で行います。柄杓に口を付けないよう、 一旦左手に水を溜めて漱ぎます。 B火の祓いは、どんど焼き等で行います。 C金品の祓いは、賽銭や祈願料やお供えをすることです。神話で須佐之男命が財産刑を以て罪を祓ったという故事を知る日本人は、賽銭やお供えを自らの祓いとして進んで行います。“拝み賃”や“お願い代”ではありません。 神道はギブアンドテーク(売り買い)や契約ではなく、徳を戴くばかりなのです。 神祖は常に子孫である私達に徳を与えたいのですが、戴く側の私達が清々しい心身にならないと受け取れません。 賽銭や祈願料は神社の収入にもなりますが、本来の意義は自分自身の清めなのです。 D音霊の祓いは、例えば鈴を鳴らす等です。 鈴は決して神様の“呼び鈴”等ではありません。神はいくら夜中に足音を偲ばせようと、私達の参拝を御存知です。 拍手も音霊の祓いで、本教では四魂を祓うことにもなります。『天神奏詞』等に比べれば簡易ながら、四つの拍手で四魂(幸魂・和魂・荒魂・奇魂)を一つ一つ磨き祓い清めます。 E音曲の祓いは、太鼓や鉦や笙や篳篥や琴等の音霊の祓いに音曲を加えた雅楽で、一層高度で優雅な祓いといえます。(来月に続く) |