背景色が選べます!


                                                          2013−3

平成25年3月号  No.1189

        

                 自然(おのずから)の道(みち)

管長 巫部 祐彦

祓い2.(祓う方法・前半)

 幸福への道程は、1.七罪を犯さない。2.自分や先祖の犯した罪をう。3.神気を戴く(長呼吸法)。4.八徳を積む。心掛けです。
   (古神道・神理教を“本教”と記します)

 冒頭2.について、先月に続けます。
祓いの図解
 祓いは日本人の習慣として、実は皆様知らずに普段から行っているものも多いのです。
 今月はその方法や意義を確認することによって、一層深い神道の神髄に進みましょう。

 祓う対象や方法の前に、先月の“神徳の流れ”図に続き、祓いも図解してみます。

  

上図
反ね返される



包み


隠す
罪の状態
丹色(にいろ)
下図
徳の交合





顕せ
祓いの状態
丹 色


神道では魂(心)の色は丹色と言われます。
 稲荷神社の鳥居や朝日や夕陽の色を連想下さい。朱〜黄金の神々しい色です。
 

 右上の図は、内側の丹色が私達や御先祖の霊魂で、それを(おお)う黒い(おび)が霊魂を包み隠す罪を表しています。

 神祖からの御徳は矢印のように()ね返されて、気が枯れて(けが)れた状態です。

 右下の図は、罪を(はら)った後の霊魂で、罪が消え失せ自らも発光しています。

 神祖からの御徳は受け入れられ、(みずか)らも世に役立つ喜びを得られます。

教書『神理入門』の第九に、

【善をなせば心(おのず)(から)清く、足軽くして天に昇るが(ごと)し…

 悪をなせば心自然暗く、足重くして(ふち)(おち)るに似たり…】とあります。

 教書『神理図』の七にも、

(ぜん)()(おのずか)()(こころよ)(もの)は、(その)()(てん)(のぼ)

 (あく)()(おのずか)(うっ)する(もの)は、(その)()(よみ)()つ】

とあります。人は本来神性を持つ神の子孫ですから、善い事をすれば(そう)(かい)で、悪い事をすれば不快になり運勢も落ちるのは、物の道理です。又、神と祖先からの徳も同じで、()まった状態の導管  も祓いによってその汚れが取り除かれ綺麗に  なります。

(はら)う対象(何を祓うか)

 一つに、衣服を質素でも清潔に身体の物質

 

的な汚れや臭いを洗い清め、参拝路の心持ちで形と心を整え、自らの心掛けを祓うのです。

 二つに、私達の心や神への道筋や(ささ)げ物等を祓い清める、即ち人と物の霊魂を祓うのです。清めの作法や祝詞や(しゅ)(ばつ)等多種多様です。

 三つに(深くは)、本教では『(てん)(じん)(そう)()』等の(のり)()で、人に備わる(さき)(みたま)(にぎ)(みたま)(あら)(みたま)(くし)(みたま)を一つ一つ(みが)き祓い清める()(こん)を祓うのです。

(はら)方法(前半)

 日本には多種多様な方法が伝わっています。

@心掛けの(はら)(ぎょう)は、本院や教会や神社への参拝路から既に始まっています。

 参拝路や参道を乗り物で或いは歩いて進むことが一つの(ぎょう)であり、それを意識して神前に向かうことが(はら)いなのです。

 帰りはまだしも寄り道をしたり、上品でない無駄口を(たた)いたりせず、清めを意識して歩を進めることです。

 門や鳥居を(くぐ)るのは頭を下げて礼を行う行で、丸橋(本院では(かみ)(なり)(ばし))や石段の(しょう)(こう)は、山登りの(ぎょう)の縮小版と考えます。

A水の祓いは、()(みず)(しゃ)()(あら)(くち)(すす)ぐことで、(みず)(ぎょう)として(みそぎ)の縮小版です。

 手と口だけでも、全身の(みそぎ)をする心掛け

(決意)で行います。()(しゃく)に口を付けないよう、

 

一旦左手に水を溜めて(すす)ぎます。

B火の祓いは、どんど焼き等で行います。

C金品の祓いは、(さい)(せん)や祈願料やお供えをすることです。神話で()()()(おの)(みこと)が財産刑を以て罪を祓ったという()()を知る日本人は、(さい)(せん)やお供えを自らの祓いとして進んで行います。“(おが)(ちん)”や“お願い代”ではありません。

 神道はギブアンドテーク(売り買い)や契約ではなく、徳を戴くばかりなのです。

 神祖は常に子孫である私達に徳を与えたいのですが、戴く側の私達が清々しい心身にならないと受け取れません。

 賽銭や祈願料は神社の収入にもなりますが、本来の意義は自分自身の清めなのです。

D(おと)(だま)の祓いは、例えば鈴を鳴らす等です。

 鈴は決して神様の“呼び鈴”等ではありません。神はいくら夜中に足音を(しの)ばせようと、私達の参拝を御存知です。

 拍手も(おと)(だま)の祓いで、本教では()(こん)を祓うことにもなります。『(てん)(じん)(そう)()』等に比べれば簡易ながら、四つの拍手で()(こん)((さき)(みたま)(にぎ)(みたま)(あら)(みたま)(くし)(みたま))を一つ一つ(みが)き祓い清めます。

E(おん)(きょく)の祓いは、(たい)()(かね)(しょう)(ひち)(りき)(こと)等の(おと)(だま)の祓いに音曲を加えた()(がく)で、一層高度で優雅な祓いといえます。(来月に続く)