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                                                          2012−2

平成24年2月号 第1176号

        

                 自然(おのずから)の道(みち)

管長 巫部 祐彦

七罪の@怠―新年祭・新成人へのお話し

 幸福への道程は、1.七罪を犯さず2.過去に自分や先祖の犯した罪を祓い3.長呼吸法で神気を戴き4.八徳を積むことです。今月から七罪についての解説を試みます。
   (古神道・神理教を“本教”と記します)

 

一年の始まり

 現代の一年の始まりは新暦の元日ですが、今年の旧暦の元日は一月二十三日でしたし、立春は二月四日です。

 日本は四季が(めい)(りょう)ですし、日本人は季節を繊細に捉える文化がありますから、季節感に溢れた日本独自の言葉が大量に存在します。

 新旧の元日に立春を加え、新年という新鮮な気持ちを何回も味わいながら、昨年までの七罪を気持ち良く祓えればと思います。

 

体の(じく)(あし)

 今年のNHK大河ドラマ“平清盛”を見て感じたことがあったので、新年祭の新成人向けに次のようにお話しさせて頂きました。

 ドラマでは清盛7才の時の幼名平太が、父の(ただ)(もり)と楽しく小舟に乗る場面がありました。

 この時波に揺られて転ぶ姿を少し年上の船頭の子どもから笑われたのに対し、

『自分はまだ小さいからこけたが、もう少し年が上がると大丈夫だ』と負け惜しみを言います。それに対して忠盛は、

『いや、この年長の子は体の中心をとる(じく)(あし)がしっかりしているからこけないのであって、ただ年が上がったからではないのだ。おまえもただ大きくなるのではなくて、(じく)(あし)(きた)えることを心掛けねばならない』と教えました。

 筆者はこの話を紹介しながら、体とは別に心の(じく)(あし)のお話しを加えました。

心の(じく)(あし)

(けい)(しん)(そん)()

 心の中心をとる(じく)(あし)とは何でしょうか。

 本教は純粋な神道ですから、先ず(けい)(しん)(そん)()があげられます。自然なる神を(うやま)い、御先祖を(とうと)ぶことです。私達の親の親のその又親と(さかのぼ)った大元の親は、大自然であり地球であり宇宙である神です。

 反対に大宇宙であり自然なる神の子孫の中でも近しいのは、両親であり祖父母等の御先祖です。従って近しい先祖を尊び、そのまた大元の祖先である神を敬う、というのは日本人と言うより人類共通の尊い習慣です。まずここに心の(じく)(あし)を置くべきです。

 これは具体的にどうすれば良いかと言えば、まず自立を進め自分の幸福を親や祖先に報告感謝して、安心して頂くことです。その次に出来る親孝行をし、又先祖を(まつ)りその霊魂の安定を神に祈ることです。

・秩序感・正義感・自主性

 次にこれも時折お話しするものの、人は神の分霊を戴いた神の子孫ですから、先天的に秩序感・正義感・自主性等を持っています。

 こうした生まれつきの感性が年を負うにつれ、(いじ)めや差別観等後天的な社会現象や入れ知恵から(ゆが)み、忘れ去られることがあります。

 けれども私達はこの成人式を期に、自分の本性を信じて、体の(じく)(あし)と同じように、こうした心の(じく)(あし)を育てて行きましょう。

・働く

 最後にこれも時折するお話しながら、働く

(ほん)(げん)(その言葉が持つ本来の意味)は、(はた)の人を楽にする、即ち“(はた)(らく)”から来ています。

 本人は自分や家族の為と思っていても、実は何の仕事でも世にも役立っているのです。

 そこに気付き、同じ働くにしても人や社会の為に役立とうと意識することで、充実感と共に心の軸足を育てることになるのです。

(おこたり)の心

・他人のせい

 しかし私達は往々にして、頭ではした方が良いことを知っていながら、手を抜いてしまうことがあります。そして得てして自分の怠りを他人様のせいにしてしまいがちです。

 即ち、あの人があんな事を言うからしなかった…、いくら良いことでもあんな言い方をされて出来る訳がない…、等々です。

 先ほどの心の(じく)(あし)を忘れるように、小中高・1020代と年を負うにつれ、手の抜き方も言い訳も上手になってしまいます。

(おこたり)を祓う方法・(あら)(みたま)

 そこで(あわ)てず(おこた)らず、本筋に戻る為に、本教には(あら)(みたま)の教えがあります。手を抜く自分を()()する為には荒魂の鎮まり処であるお墓参りという方法があります。直接行くのが難しい場合には、家の神殿を通じて、或いはお墓の方を向いて(よう)(はい)しましょう。必ず御先祖の荒魂が自身の荒魂を活性化し、(おこたり)は薄れて行くことでしょう。そこで心の(じく)(あし)を発揮し、(おこたり)を犯さないようにしましょう。