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                                                          2010−6

平成22年6月号 第1156号

        

自然(おのずから)(みち)   管長 巫部(かんなぎべ)(さち)(ひこ)

 足を運ぶ()()

 

(神理教を“本教(ほんきょう)”と記します)

春季式年大祭の報告と御礼

 本誌の6月号は5月2日が締め切りですから、4月の後半には原稿作りに取り組みます。

今月はまだ記憶に新しい4月の春季大祭でのお話しの一部を再構成(アレンジ)してお伝えします。

春季大祭は開教百三十年の(けい)()の式年祭に(あわ)せ、御教母昇天九十年という(つい)()の年に当たりました。

木曜・金曜という平日にも関わらず、多くの皆様の参拝を頂きました。

15日7時の献饌式に降っていた雨も9時の造化・大元の大祭には上がり、1030分の教母墓前祭もカラリとしたお日様の(もと)で行う事が出来ました。

二日に渡る本殿祭や渡辺本院()(しょう)主管による1610時の教祖墓前祭も(とどこお)りなく行えました。皆様方の物心両面のご奉仕の(たま)(もの)と、心より御礼申し上げます。

 

家庭の(れい)(さい)での教話

(くし)(みたま)(しず)まり(どころ)と働き

 最( *)(れい)(さい)に伺う時も、故人の功績や故人との思い出の後の教話で次のようにお話ししています。

(れい)(さい)=神道でのご先祖祭で、仏教の法事のようなもの。

 亡くなって十日毎に五十日まで又、百日・(はつ)()()(さい)((ぼん))・一周年・三(以下数え)・五・十年と、基本的に五十年まで行う。

『さて、今お祭りをしたこの家の(れい)殿(でん)にお鎮まりになっているのは、ご先祖と故人の(くし)(みたま)(中央の天在諸神の両横、或いは向かって左)と(ほん)(きょう)では教えます。

 神殿・霊殿では、出来れば毎日水を替え(お茶をお供えしても良い)手を合わせることをお勧めします。

 奇魂は私達の智恵を(つかさど)りますから仕事や生活に役立つ着想力が育ち、夢で神祖と通じますから仕事や生活に役立つ発想を戴くことになります。

(きょ)()のような霊祭や()()(さい)(お盆の祭)の時には、他の三つの魂((さき)(みたま)(にぎ)(みたま)(あら)(みたま))も、(くし)(みたま)の働きでこの霊殿にお集まりになっていると考えます。

(すなわ)(さき)(みたま)は本院大教殿(又は教会)から・(にぎ)(みたま)(うぶ)(すな)(じん)(じゃ)(又は伊勢神宮)から・そして(あら)(みたま)はお墓からお招きし、ご一緒に霊祭を奉仕させて戴きました。

今日は霊祭ということでその(さん)(こん)にわざわざお越し頂いたわけですが、礼儀から言えばそれぞれの鎮まり処にこちらから足を運んで出向くのが本当です。

(あら)(みたま)(しず)まり(どころ)と働き

例えばご先祖の荒魂は普段お墓にお鎮まりですから、私達は出来れば年に4回お参りをします。

それは(すなわ)ち、春分秋分の日とお盆とお正月で、お墓参りは仏教渡来以前の、日本人の習慣なのです。

お正月から墓参りなんて縁起でもない≠ニ言う人がいますが、年の初めにご先祖にご挨拶に(うかが)わない方が縁起でもない≠ニいうことになります。

 葬儀の後の納骨祭とは別に、普段の霊祭と同日に墓前祭を行う丁寧な家もあります。そうした機会やそれ以外にもお参りすると、少々気持ちが落ち込んでいても元気づけられ生きる力を戴くことになります。

(にぎ)(みたま)(しず)まり(どころ)と働き

和魂は(うぶ)(すな)(じん)(じゃ)(その大元は伊勢神宮)にお鎮まりですから、私達は地域の神社の祭りを昔から大切にしてきましたし、これからも心掛けましょう。(もう少し余裕が出来れば、足を伸ばして伊勢神宮{日本人の心の故郷}へのお参りをするのは、古来の文化・風習でもあります。地域によって産土神社が確定出来ない時は、本院に(うぶ)(すな)(おお)(かみ)(まつ)っていますから、教会を通じてお参りすることも出来ます。)

優しく人を(なご)める心が育ち、笑いの力で気付かぬうちに(つみ)(けが)れを(はら)う力を戴きます。

(さき)(みたま)(しず)まり(どころ)と働き

幸魂は本院大教殿(又は教会)の霊殿にお鎮まりですから、春秋の大祭や()(れい)(さい)又出来れば(つき)(なみ)(さい)に参拝されることをお勧めします。

そして本院直属の教信徒のご先祖は西(()(そく)=向かって左・下位)(おお)(みたま)殿()( *)(れい)()をお鎮めしていますから、参拝の折には是非その(れい)(ぜん)でご挨拶下さい。

(れい)()=表面に故人の氏名に神道式の(れい)()を加え、裏面に生年・帰幽月日・享年を記す台付きの(つるぎ)(がた)木札。家の霊殿に鎮める奇魂用と本院・教会に鎮める幸魂用がある。仏教の位牌のようなもの。

(教会所属の教信徒は東{()(そく)=向かって右・上位}の(おお)(みたま)殿()(れい)(ぜん)でご挨拶下さい。お申し込み{(えい)(だい)(さい)()}された方は(れい)()がありますし、無くとも中央上段の大霊璽を《()(しろ)》とされるとお考え下さって結構です。)

近年は、五十日祭に合わせるかその日に前後して、それまで家に安置していた幸魂の霊璽を本殿の(おお)(みたま)殿()に鎮める(えい)(だい)(さい)()(さい)を御家族と一緒に行っています。

他の三魂の釣り合いを取り、効果的に働けるよう調整する力を戴くことになります。

・足を運ぶ大切さ

是等はご先祖の四魂の()(ゆう)()の行く先であり、そこを大切にすることで、私達の四魂も安定するのです。

奇魂はこうして普段は家庭の神殿に鎮まるものの (あま)(かけ)(くに)(かけ)り≠ニ祝詞にもあるように、何処にでも来て下さいますし、又他の三魂をお呼び下さるのです。

しかし私達はいつもお呼びするばかりではなく、行ける時はこちらからも足を運ぶという礼儀も忘れないようにしましょう。

・幅広い視点

私達は第二次世界大戦以後目に見えないものは信じない≠ニいう風潮に慣らされる内に、世の中の本質をも見失いつつあるのではないでしょうか。

でもそうならないように、こうしていつも付き添って下さるご先祖の存在を意識し、感謝の気持ちを忘れないように保ちたいものです。

死んだら終わり≠ニいう考え方はシンプル((かん)())で分かりやすそうでありながら、本教の教えからすると(あん)()で人生の本質を見失わせるものです。(先々月と先月号の人に二つの過去あり≠ナもお話ししましたが、生まれる前の過去と生まれた後の過去を見比べる事が大切です。)

 親やご先祖から見守って戴いていると意識出来・視点が広げられると、例えば()(せつ)した時に自分だけで完結する安易な結論に導くようなことから(ふせ)げられます。

 あきらめて物事を投げ出したり、自殺をして精算出来ると思ったりするのは考え違いです。

 神祖と伴に在る事に気付くと、大切な心や体を粗末にするような、おかしな考え方に(おちい)らない幅広い視点から自分や自分の周囲を見つめることが出来るのです。

この機会に是非そうしたことにも注意頂くことで本質をしっかりと見つめ、一層安心充実した毎日をお送り頂くようお祈り申し上げます。』という感じです。

 

春季大祭の本殿祭での教話

 本殿祭では参拝の皆様に見えるよう、大きめの用紙に『(さき)(みたま)(にぎ)(みたま)(あら)(みたま)(くし)(みたま)』と筆書きを(かか)げました。

 そして、先ほどの家庭での教話を少し(ちぢ)め、幸魂を中心としたお話しをしました。

幸魂は四魂の本魂であり、その幸魂の大元の鎮まり処である本院は霊魂の故郷≠ナあるから、まず教会そして出来れば本院にお帰り頂くようお話ししました。

和魂の大元の鎮まり処である伊勢神宮を心の故郷≠ニし、まず産土神社を大切にするのと同じです。

足を運ぶ理由とは御神徳を戴ける∞居心地が良い≠ニいうことは元より、居心地が良いことも含めて、それは本院が霊魂の故郷≠ナあるからなのです。

ここにお気づき頂き、それぞれの教会なり御家族なりでお決めになり定例のお参りを頂ければ、必ず開運・幸福が戴けるのです。

 

奇魂の活用

 先ほどまでは奇魂に頼ってばかりでは駄目で(たま)には自分の足を使わないと、という話しでしたが、余談として奇魂の活用について触れさせて頂きます。

 最近『本教の教信徒ではないが( *)(はこ)(れい)()を授与頂けますか?』とメールでと連絡がありました。

*箱霊璽=長方形の霊璽が10枚ほど入る()()(ぶた)付きの箱。

『出来ます。』と返すと大変喜ばれ、『バックに入れて持ち運びようにしようと思います。』とあったので、次のように連絡しました。

( *)(せん)(れい)した霊璽には常に霊魂が()もっておられるので、雑多なものと一緒にバックに入れるのは不敬であり、それ以前に常時持ち運ぶべきではありません。

(せん)(れい)=霊璽(れいじ)等に故人の霊魂を取り付ける事。

 それよりも故人の写真をお持ちになってはいかがでしょう。奇魂は分家にも分かれ生きている時には夢を見て神や祖先と通じ、家人が拝礼する時に他の幸魂・和魂・荒魂をお連れ戴くと考えます。

 従って、携行されるのであれば例えば写真でもよいので、その気になって写真を拝めば(あま)()けり(くに)()ける奇魂がその写真に宿る、ということになります。』

 最近霊祭や法事の後の食事を外でする家が増えましたが、この時霊璽ではなく写真を持って行き、会場の中央に飾って食事をお供えします。

 そうすれば故人と一緒に(なお)(らい)が出来るのです。

季節のことば    名越の祓い(なごしのはらい)  6月30日(水)

 夏越祭等ともいい、もとは旧暦の6月30日に行われた大祓えの行事です。今は新暦で行う神社も多く、穢れを人形に託して川に流したり、カヤで作った大きな茅の輪を潜って邪気を祓ったりします。
 茅の輪は、その昔蘇民将来が一夜の宿を貸した武塔神(須佐之男命とも言われる)から、『疫神に悩まされた時は茅で輪を作り腰に付ければ難から逃れられる』と教えられたのが元になっている(備後国風土記)とのことです。
 本院の大祓は6月30日・11時からです。本殿で報告祭を行った後、天気が良ければ明誠の滝で祭事と伴に大祓を奏上しながら人形と車型(4輪と2輪車)のお焚上げを行います。
 大祓の奏上数が多い方が良いので、是非ご一緒下さい。
 又本院の夏越祭は翌月の7月11日・11時からです。汗をかきかき徳力山の参道を進まれ、大元稲荷社の御神徳が戴けますよう、是非お誘い合わせの上御参拝下さい。