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                                                          2010−2

平成22年2月号 第1152号

        

H.22. 2月号

自然(おのずから)(みち)   管長 巫部(かんなぎべ)(さち)(ひこ)

 (とら)さん(めい)(げん)と幸福の方程式

 

(神理教を“本教(ほんきょう)”と記します)

寅さんの名言

 昨年文化庁の宗教審議委員会に参加した折、会議が早めに終わり、飛行機の離陸時間まで大幅に空いたので、(かつ)(しか)(しば)(また)の『(とら)さん記念館』に行きました。

 昭和44年から平成7年まで48+1作(帰幽1年後の平成9年に特別編)、筆者の中学時代から始まった『男はつらいよ』シリーズは観光バスでよく見たものです。

 当日は12月の改装開館を控えて休みだったのですが、()(さめ)を受ける傘から見上げると、近くの標識に『寅さん名言集』の一つが(ふだ)にして(かか)げられていました。

「なるほど、へえ〜」と思いながら帰りましたが、後で思い付いたこともあり、うろ覚えだったのでインターネットで前後も調べ直して以下にご紹介します。

(みつ)()()()さん、質問してもいいか」

(とら) 「あまり(むずか)しいことは聞くなよ」

満男「大学へ行くのは何のためかな」

寅 「決まっているでしょう。これは勉強する(ため)です」

満男「じゃ、何のために勉強すんのかな」

寅 「難しいこと聞くなと言っただろう。

つまり、あれだよ、ほら、人間長い間生きてりゃいろんなことにぶつかるだろう。

なあ、そんな時に俺みたいに勉強してない奴は、振ったさいころの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるしかしょうがない。

ところが勉強した(やつ)は、自分の頭できちんと筋道をたてて、こういう時はどうしたらいいかなと考えることができるんだ。

だから、みんな大学へ行くんじゃねえか。だろ。

あ〜、()れないこと考えたら頭痛くなってきた。」

 勉強してない()()((とら))さんに聞く(おい)((みつ)())()(ほど)落ち込んでいたのでしょうが、寅さんの返答も風変わりながら(みょう)(まと)()ている部分もあります。

「難しいこと聞くなと言っただろう。」と怒りながらも、

「…振ったさいころの出た目で(人生を)決める…」等、()(ちゃ)()(ちゃ)(はっ)(そう)(いち)(いち)()()(わら)いをしながら、納得できる部分もあるまさに名言です。

論理ではなく感覚で、『そうか勉強した方が良さそうだ』ということが分かると言う感じです。続いて、

(みつ)()「人間は何の為に生きてんのかな」

(とら) 「難しいこと聞くなぁ、お前は。

 …何と言うかな、あ〜生まれてきてよかった。

 そう思うことが何べんかあるだろう。

 その為に生きてんじゃねえか。」

 何とまあユーモラス()つ分かりやすい言葉で、人が生きる意味≠解釈しているのでしょうか。

 これもやはり『そうか生きることは得なんだ』と感覚で(つか)み取れます。

 こうしたいい加減のようで結構真面目に考えさせる言葉の使い方・考え方が、人生を楽しく生きるコツのように思えます。

 冷たい雨の中の失敗談が、寅さんの言葉に()()まれ得をした気持ちになったのも嬉しいことでした。

 

(そん)(すう)(そん)(けい)(けい)(あい)

 平成10年9〜11月号に『生きる(命の)()(だね)』のお話をしたことがあります。

 その内容は火種が過去に体験した親子の()()いや楽しい思い出等ですが、寅さんの言葉は今すぐ命の火が付きそうな心地がします。

 笑いの力を(あわ)せる(やま)()(よう)()(かん)(とく)(きゃく)(ほん)(あつ)()(きよし)の人柄が(かも)し出すところだと(けい)(あい)(ねん)がわいてきます。

 帰りの電車の中でも家に帰っても、(けい)(みょう)なテンポの話し振りに思い出し笑いをしながら、本教ではどう考えるのかなと振り返ったことです。

 その時、御教祖は本当に素晴らしい人物だと、改めて感心しました。

同時に本教の教えは周囲にある教えとはある意味全く異質でありながら、筋の通った素晴らしい教えだといつも感じてしまいます。

余談ながら筆者の尊敬する歴史上の人物は、(しょ)(かつ)(こう)(めい)((しょく)(さい)(しょう)(すい)()(ひょう)(けん)(きょ)に人民を愛する心)やマルクス・アウレーリウス(ローマの皇帝・()(せい)(ろく)・権力に(おぼ)れない(こう)(けつ)な心)等あげられます。

 しかし天皇陛下に対する(そん)(すう)(ねん)とは別に、本教の御教祖の右に出る人を筆者は見ることが出来ません。

 

幸福の方程式((あん)(てい)(きょう)(きゅう)される方法)

・不幸の原因を探る

 平成20年5月号の《徳の袋2》でも()れましたが、もう少し掘り下げてみます。寅さんの考え方も一理ありますが、本教の御教祖は(ゆい)(ごん)≠フ第四十五条に、

(こう)(ふく)()むとして(こう)(ふく)(かた)のみ(もと)めむよりは、(ひと)()(こう)(いづれ)より(きた)りしかをよく(たん)()して(おのれ)(つつし)みなば、(こう)(ふく)(おのづか)(きた)るべし。】と教えています。

 寅さんの考え方も生きる(ため)の勇気を与えてくれるものですが、御教祖はその根元である幸福の一層の安定供給を受ける方法について示して下さっています。

『いつ来るか分からない幸せを(ばく)(ぜん)と待つのではなく、()ずは私達の不幸がどこから来るか考えてご(らん)なさい。

 不幸の原因を知り、それを行わない・防ぐ心掛けをするだけでも(ずい)(ぶん)(うん)(せい)が変わりますよ』ということです。

 その方法・()(やす)(おぼえ)(がき)((こん)(にち)(くん))(てい)()第十一条≠ノある(しち)(ざい)((たい)(){()}(どん)(ぷん)(まん)(ゆう)(えん))です。

 (すなわ)ち、(おこた)(いつわ)り・(むさぼ)(いきどお)り・(たかぶ)(()())(うれ)い・(うら)(怨まれる)の心に、自分又ご先祖が()まっていないか振り返ることを伝えています。

(はら)いと(ちょう)()(きゅう)(ほう)

 不幸の原因を作らないようにした上で、過去に作った七罪は取り除かなくてはなりません。

 その方法が、(きょう)(ない)でよく()わされる言葉ながら『神道の(さと)り・(ごく)()』の一つである祓いなのです。

 決して私達が(きたな)いから祓うのではなく、私達の(れい)(こん)は神から分け戴いた(ぶん)(れい)(ほん)(らい)()(じょう)の美しい物であるからこそ、少しの(よご)れも付かないように祓うのです。

 目に見える(よご)と平行して、目に見えない(けが)にも気を(つか)うのが日本人の信仰の文化というものです。

 祓いの方法については前2010月号の《入り口(基本)の悟り(安心)と…》今年度4月号の《普段の信仰とは》に述べたのでここでは(ちょう)(ふく)()けます

 

(はら)(目には見えない)の心得は(そう)()(目に見える)と同じで、まだ()(やす)(けが)(よご)()(かた)ないようにすることですから、是非普段からお心掛け下さい。

同時に本院・教会・家の神殿で、(ちょう)()(きゅう)(ほう)も行いましょう。基本は手を合わせ背筋を伸ばし・(よご)れた体内の気を()き・次に神の気を戴く感謝と決意を以て吸い込み下腹に()め・力を込めた後吹き出す事の()(かえ)しです。

・自ら幸福を(まね)

 祓い長呼吸法も同じで、(みずか)(こう)(ふく)(まね)こうという気持ちは決して(きたな)(よく)ではなく(きよ)く必要()(よく)です。

 御教祖は(しん)(じょう)≠フ二十八条に、

(わざわい)(はら)()ねば()り、(ふく)(まね)かざれば(きた)らざる事を知るべし。】と教えています。

 寅さんの考え方も(けん)(めい)に生きていれば必ず良いことがあると(あん)()しているものですが、御教祖は一層の安定供給を受ける方法について示して下さっています。

『まず七罪に()れないように気を付け・触れたならば祓うべきなのだが、それに加えて自分から幸せを招くという心掛けも大切ですよ。

防ぎ・祓うと同時に招き入れようという気持ちになれば、運勢は開かれるのですよ』ということです。

その方法・()(やす)(てい)()第十一条≠ノある(はっ)(とく)((けん)(こう)(せい)(じつ)(いん)(とく)(せ(し))(しゃ)(ろう)(えき)(あい)()(こっ)()()(はく))です。

(すなわ)ち自ら福を招き入れる積極的な方法であり、この(こころ)()けに(はげ)むべきことを伝えています。

 

信仰の効用

 いつ来るか分からない幸せを大切にするという寅さんの考え方が間違いというのではないけれど、より幸せを安定させる心掛け(=信仰)があるのです。

 それは《人は神の(ぶん)(れい)であり常に幸せであるべき》という御教祖の強烈な信念を私達教信徒が真実として信じ認めるところに安心を得る始まりがあります。

 又《今の自分が不幸なのは自分かご先祖に過ちがあり、(いま)だにそれを()いてないからである》も同じです。

 人は何の為に生きているかは、神の御意志を形に表し、神や人(子孫・社会)の役に立つという()(じょう)の喜びを得る為と、この紙面でも(おり)()述べてきました。

何の為に生きているかを知ることにより、信仰の効用(生きる喜びを保存・育成)を理解出来るのです。

季節のことば    立春(りっしゅん)   今年は4日(木)
 
 立春(二十四節気の一つ)は節分の翌日で、昔の暦では正月節と書かれるように一年の始めでもありました。
 従って社日(春分・秋分に最も近い戊{つちのえ}の日=土の神{土地の氏神}に収穫の祈念とお礼参りの日)・八十八夜(播種=種蒔き)・入梅・二百十日(台風襲来)等、みな立春から何日目となっています。
立夏・立秋・立冬も節分の翌日ですから、それぞれの季節が立つ日と同じく、実は節分も二月三日だけでなく4回あるのです。
旧暦(明治維新前に使用した太陰太陽暦)では正月が立春の前後になることが多い(正月と立春は現代より近かった)ので、正月は春の始まりとされていました。
ここから今でも年賀状に《初春》とか《新春》と書く習慣が残っています。
水温む暖かい春も、は〜やく来い!