自然の道

                         幸 彦

他宗教者との対話 JS宗O派・H寺(仏教)2

葬儀で使う塩について

 先月より、お坊さんの通夜の講話をもとに、私が『神道でも神理教は死をれと考えません』と話した時、お坊さんが『知らなかった』と言ったところから始めます。

筆「人権・差別問題でも、知らない事をに責任逃れをする人がいますが、本 当に知らずに言ったにしても、その人が口にした事によって、悲しい思いをする人は、もうそこにいるのです。

  死をれと言い出したのは、神道にも問題がないわけではありません。

 江戸時代の始めに、幕府がという政策を打ち出して、お寺で をようになった時に、神社は葬儀が出来なくなりました。

 当時の神官の中には、古事記を引き合いにた解釈をして、

 『そんな死を扱うのは、仏教にくれてやればがよい』などという、けしみの考えを述べる人もいたとのことですから、お恥ずかしい事です。

  そして、仏教の人達も神道のれ批判のよりどころにしている古事記について、多分これと同じようないをされているのだ、と私たちは考えます」と話した事でした。

坊「死をれとしないというのは、誰がどこで言っているのですか?」

筆「本教の教祖は古い神道を継ぐ家に生まれ、江戸末期から明治の差別観念の激しい時代に(言葉の持つ意味)を世の中に紹介しました」そして、の“はみす(隠そうとする心)、れは(神からの徳)がれる、いはを(人が本来持つ清浄な霊を表面に)”などの教えを伝え、筆「決して死自体がのではなく、例えば仏教のやキリスト教の原罪のように、持って生まれて離れようのないものではありません。

 たとえ親から伝えられた・れも、神と祖先の道を正せばわれるので、生まれが人のや運命の全てを決定するものではないのです。

 葬儀でいう・れは、これも神から戴いた感情ながらも、こだわるとよくない悲しさやしさを持ち続けて離れられない事を言うのです。

 これをエイ!と祓うために昔は高価であった塩を使うのが、日本人の習慣 なのです」

坊「知りませんでした。

  実は仏教の中にも、死を汚いとする教団があります」

 だったら、その事を言わずになぜ神道ばかりの悪口を言うのかと思いながら、筆「通夜の場という遺族もいて反論出来ない公衆の面前で、他宗の悪口や誤解 をるのはいじめだと思いますよ。」と話すと、坊「実は一緒に行った子どもから怒られました」と言うのでした。

 一緒に行った子どもというのは、最初に筆者がお寺に電話した時に、

「父に何のご用があるのですか」と聞くので、いきさつを話したらてて取り次いでくれた人ですから、その子どもの判断で言ったかどうかは分かりません。とうとう、その後もそれ以上のびの言葉は出てきませんでした。

 筆者のような若造に謝ることは、プライドが許さないのか本山や他のお寺への気兼ねがあるのかもしれません。

 そこで、一番心配であった質問をしました。

筆「葬儀社の人に聞いてみると、浄土真宗のお坊さんにこの話をする人が多い ということですが、何かそうした研究会でもあるのですか?」

 このお坊さんだけをめたり、説明をしてもこの問題は解決しないと考えたからです。

坊「それはありません。

  浄土真宗は明治以前、葬儀に塩は使いませんでした。

  それがその後の風潮で、門徒でありながらそうしたことを知らずに塩を使 う人が増えたので、元の形に戻そうとする動きがあります」とのことでした。 元の形に戻そうとする動きのついでに、神道批判となったということのようです。

筆「仏教のおについて聞いたことがありますが、あれは死者のいを消すと いうよりは、参拝者の臭いを消すためだそうですね。

 『のいを消すためにおをあげるので使いなさい』と言われるのは、 大変失礼に思うけれど、私たちは、だからといってお通夜で『おをあげる 必要はありません』などとは言いませんよ」と言ったことでした。

 この問題は、もう少し注意してみる必要があるし、宗教者で作る人権問題委員会にも相談しなければならないように思います。

 ただ、こうした話を交わす中で、筆者も大変勉強になりました。

 神道とある意味で対立する仏教の素養のある人を相手に、自然に応対することが出来ることが確認出来たからです。

 いくら正しい話も、理解してもらえなければ何にもなりません。

 百年ってもちないどころか、益々発光する御教祖の教えの素晴らしさをいつもながら確認することが出来ました。

 決してを売りに行ったのではなく、誤解を解き、が広まらないようにするのが目的でした。

 相手のお坊さんもこちらの心が理解出来たようで、塩についても仏教の考え方についても、気持ちを楽に話して下さいました。

 そこで、また神道と仏教の違いがあらわになるのです。      つづく

平成12年3月号 第1033号   2000−3